イシガイとカワシンジュガイの違いと同定方法(見分け方)を写真付きで解説

イシガイとカワシンジュガイの比較

こんにちは、こんです。

宮城県で淡水貝を見ています。
今回は図鑑で比較されることがない、イシガイとカワシンジュガイの違いを解説します。

研究者に鼻で笑われそうですが、実は似てるんじゃないかと、気になっていた2種です。
生息地は違うんですが、貝の形で決着をつけたかったのです!

カワシンジュガイを見つけてるのに、イシガイで記録しちゃったらもったいないもんね。

イシガイ

イシガイとは

全国に広く分布し、川の中・下流や水路、湖沼に棲息する。
特に小川や用水路の砂礫~砂泥底に多く分布する。
殻はやや細長く、殻長50mm前後になる。

2年(約3cm)で性成熟する。

主な宿主魚類はヨシノボリ、モツゴなど。

タイリクバラタナゴ、シロヒレタビラ、アカヒレタビラ、カネヒラが産卵に利用する。

イシガイの捕りかた

イシガイの生息環境
イシガイの生息環境

イシガイはモツゴなどの魚類が生息する、水田地域の水路にいます。
おそらく昔はどこにでもいたのでしょうが、今はやや局所的です。

良さそうな水路を見つけたら、底の砂・泥に手や網を入れて探ってみましょう。
慣れてくると、砂・泥の中で手に当たったのが貝なのか石なのか感覚的にわかるようになります。
通年水が流れている水路がねらい目です。

カワシンジュガイ

カワシンジュガイとは

主に北海道~東北の最高水温が20度以下の水域で、
流れの緩やかなトロや浅い淵に群生し、礫~泥底に棲息する。
殻はやや細長い。

8年(殻長約5cm)で性成熟し、寿命は約100年。

主な宿主魚類はヤマメ。

タナゴ、アカヒレタビラが産卵に利用する。

カワシンジュガイの捕りかた

カワシンジュガイは澄んだ川に生息していて、そこに刺さった状態で群れています。
なので上から目視で探していきます。

生息場所が限られていてなかなか見つけられませんが、地道に探すしかないです。
宿主魚類がヤマメなので、ヤマメの生息地を中心に探します。

僕は毎年シュノーケルをして探していますが、なかなか見つけられないです。

イシガイとカワシンジュガイの違い

計測値

イシガイの殻長計測・イシガイの殻長の計測
イシガイの殻幅計測・イシガイの殻幅の計測

カワシンジュガイの殻は平たく、殻長を殻幅で割った値は3.1以上
イシガイの殻はやや膨らみ、殻長を殻幅で割った値は3.0以下

イシガイ カワシンジュガイ
殻長 殻幅 長/幅の値 殻長 殻幅 長/幅の値
53.8 19.9 2.7 83.4 23.4 3.6
58.3 20.2 2.9 80.4 22.1 3.6
51.8 19.8 2.6 78.8 20.7 3.8
58.6 22.1 2.7      
59.2 20.9 2.8      
50.2 20.1 2.5      
50.9 20.7 2.5      
59.9 23.2 2.6      
39.3 14.9 2.6      
52.8 20.2 2.6      
60.6 21.7 2.8      
61.9 22.5 2.8      
60.2 21.9 2.7      
52.6 19.3 2.7      
59.2 21.6 2.7      
53.7 19.7 2.7      
51.0 19.7 2.6      
53.2 19.7 2.7      
55.1 21.5 2.6      
61.1 22.5 2.7 単位は(mm)

貝の形

イシガイとカワシンジュガイ比較-1・イシガイ(左)とカワシンジュガイ
イシガイとカワシンジュガイ比較-3・イシガイ(左)とカワシンジュガイ

イシガイはカワシンジュガイに比べ寸詰まり体型
カワシンジュガイは腹縁(底の部分)がへの字状にくぼむ(ほとんどくぼまない個体もある)
右殻と左殻のくっつきかたが違い、殻を開くとカワシンジュガイは左右腹縁が平行だが、イシガイの腹縁は斜めになる

殻の内側

貝内側の各部名称・貝内側の各部名称
カワシンジュガイ右とイシガイ左・カワシンジュガイとイシガイ
イシガイ右殻擬主歯・イシガイ右殻擬主歯
イシガイ右殻後側歯・イシガイ右殻後側歯
イシガイ左殻擬主歯・イシガイ左殻擬主歯
イシガイ左殻後側歯・イシガイ左殻後側歯
カワシンジュガイ右殻擬主歯・カワシンジュガイ右殻擬主歯
カワシンジュガイ右殻後側歯・カワシンジュガイ右殻後側歯
カワシンジュガイ左殻擬主歯・カワシンジュガイ左殻擬主歯
カワシンジュガイ左殻後側歯・カワシンジュガイ左殻後側歯

イシガイの擬主歯は丸っこいですが、カワシンジュガイの擬主歯はV字型
後側歯はイシガイの方が発達していて、高さがあり切れ込みも深い
カワシンジュガイ腹縁はへの字にへこむ
右殻と左殻のくっつきかたが違い、殻を開くとカワシンジュガイは左右腹縁が平行だが、イシガイの腹縁は斜めになる

イシガイ目の貝類と魚の関係

日本で急激に生息数が減少しているタナゴ類はイシガイ目の貝類に産卵します。
メスは貝類の出水管に産卵管を挿入し、貝類の鰓内に産卵。
オスは入水管の入口で放精を行い、吸い込まれた精子は貝内で受精します。
そして卵は孵化し、稚魚になると貝外へ泳ぎ出ます。

イシガイ目の貝類は受精卵を雌の中で孵化させ、幼生になると出水管から放出する。
この幼生はグロキディウム幼生と呼ばれ、ヨシノボリ類などを宿主として寄生する。
幼生は魚の組織から栄養を吸収して稚貝となり、魚から脱落して底生生活が始まる。

イシガイ目の貝類を中心に、産卵に利用するタナゴ類や貝類の幼生が寄生する宿主魚類と、貝だけ魚だけの保全がいかに不十分なのがわかる。

タナゴの産卵・貝の中に産卵するよ
グロキディウム幼生の寄生・幼生は稚貝になるまで魚に寄生

まとめ

イシガイとカワシンジュガイの一番確実な違いは、殻長と殻幅の比だよ。
殻長/殻幅=3.1以上がカワシンジュガイ、3.0以下はイシガイ。
殻が落ちていれば、擬主歯をチェック。
カワシンジュガイはV字になっています。

参考文献

参考文献は写真の2冊と、現在見当たらなくなってしまいましたが、ウェブ上の大阪教育大学のイシガイ類検索表を参考にしました。

日本産イシガイ類貝類図譜

日本淡水貝類図鑑〈2〉

おまけ

淡水貝は長ぐつと網さえあれば、いつでもどこでも楽しめます。
近所の川や水路を見てみてね!
タナゴ類とイシガイ目の貝類の関係については『日本のタナゴ』が詳しいです。

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